前回は、ビジョンを「机上の空論」で終わらせないための戦略についてお話ししました。
しかし、どれほど緻密な戦略マップを描いても、実際にその山を登るのは「社員」たちです。
多くの経営者がここで壁にぶつかります。
「戦略は伝えた。でも、現場が動かない」
「言われたことはやるが、それ以上の提案が出てこない」
「結局、社長である私が全部決める羽目になる」
なぜ、あなたの組織は「指示待ち」から抜け出せないのか。
今回は、戦略を実行できる強い組織を作るための「人材・組織論」について、Q&A形式で核心に迫ります。
【Q1】「もっと主体的に動いてほしい」と伝えているのに、なぜ社員は指示を待つのですか?
A. 社長が「失敗する隙」を与えず、先回りして正解を与えているからです。
「社員に任せたい」と言いながら、部下が少しでも危なっかしい動きをすると、すぐに口を出していませんか?
社長の能力は高いため、部下の失敗や非効率が目につき、つい「貸してごらん、私がやる」「そうじゃない、こうだ」と手を出してしまいます。
これを繰り返すと、社員はこう学習します。
「自分で考えても否定される。社長の正解が出るのを待ったほうが早いし、安全だ」
これが「指示待ち人間」の正体です。彼らの能力が低いのではなく、社長の過干渉が彼らの思考停止を招いています。
主体性を求めるなら、「小さな失敗」を許容する覚悟が必要です。「任せる」とは、放置することではなく、「失敗も含めて彼らの経験にする」という社長の忍耐力のことなのです。
【Q2】現状の社員だけでは不安です。大企業から「優秀な人材」を引き抜くべきでしょうか?
A. ブランドや経歴だけの「即戦力」採用は、組織崩壊の引き金になりかねません。
戦略実現のために、能力の高い人材を外部から招集したくなる気持ちは分かります。しかし、中小企業において「大企業で優秀だった人」がそのまま活躍できるとは限りません。
大企業の優秀さは、整った仕組みの上で発揮されるものです。一方、中小企業に必要なのは、仕組みがない中で道を切り拓く「突破力」や「泥臭さ」です。
また、既存の社員との間に「あの人は高給取りのくせに何もわかっていない」という感情的な溝が生まれ、組織が空中分解するケースも少なくありません。
「優秀さ」の定義を書き換えてください。
スキルよりも、自社のビジョンやカルチャーへの「共感度」を最優先するべきです。スキルは後から教えられますが、価値観の不一致は教育では埋まりません。
【Q3】社長の想いを汲んで、自走する組織を作るにはどうすればいいですか?
A. 「やり方(How)」ではなく、「あり方(Being)」と「判断基準(Criteria)」を共有することです。
いちいち指示を出さないと動けないのは、社員の中に「判断するためのモノサシ」がないからです。
社長が普段、何を大切にし、どんな基準で意思決定をしているのか。この「判断基準」が共有されていれば、社員は現場で迷った時に「社長ならこうするはずだ」と自分で答えを出せるようになります。
そのためには、日常的な対話が必要です。
「売上を上げろ」という結果の指示ではなく、「なぜ、わが社はこの商品を売るのか」「お客様にどんな喜びを提供したいのか」というフィロソフィー(哲学)を語り続けてください。
テクニックではなく、社長の「魂」が幹部や社員にインストールされた時、組織は初めて自走を始めます。
まとめ:組織の限界は、社長の「器」の限界
「会社は社長の器以上には大きくならない」という言葉があります。
もし、あなたの会社の成長が止まっているとしたら、それは市場のせいでも、社員の能力のせいでもありません。
社長であるあなたが、権限を握りしめ、部下を信じきれていないことがボトルネックになっている可能性があります。
「自分がやったほうが早い」という誘惑に打ち勝ち、部下を信じて任せる勇気。
それを持てた時、あなたの周りには、指示を待つ「手足」ではなく、共に未来を拓く「同志」が集まり始めるはずです。
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プロフィール
一般社団法人未来に輝く企業づくり研究会
中村秀和
社員がイキイキと働き、会社が成長する仕組みづくりを支援することで、未来の子ども達が希望を持てる社会をつくるこを目指して活動しています。
事業の成長と発展でお悩みの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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